パワーハウス・ブラットールカイア

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世界最北端にあるエネルギーポジティブ建築ビルはいかにサスティナブルなのか?
革新的な設計と開発のグローバルモデルケース

持続可能な未来を目指すにあたり、ネット・ゼロ・ビルの実現が重要であることは明らかです。国連環境計画(UNEPUnited NationsEnvironment Programme)の「2020 Global Alliance for Buildingsand Construction Status Report2020年 建築 ・建設業におけるグローバルアライアンスについての現状報告書)」によると、世界中でエネルギー消費に伴って排出される二酸化炭素の40%は、建設工程や建築物に起因し、さらに、そのうち75%は建築物のオペレーションによって排出されています。

この事実は、建物で消費されるエネルギーを削減することは極めて重要であることを示し、インパクトのあるサスティナビリティを実現する上でも費用対効果の高さや有効性が期待されます。さらに、こうした取り組みは気候変動対策につながるだけでなく、世界中の人々の健康や生活の質(QOL)の向上を促進します。

ノルウェーの企業同士が提携を結んだパワーハウス・アライアンスは10 年前に組織され、卓越した設計、エネルギー効率、テクノロジーを実現する建物の建築を目標とした最先端のプロジェクトが開始されました。

そして、2019 年、パワーハウスが設計したパワーハウス・ブラットールカイアがノルウェーのトロンハイムに完成しました。ブラットールカイアは、北半球の先進事例となるエネルギー・スマートオフィスビルのリーダーであり、ネット・ゼロを超えたノルウェー初となる「エネルギーポジティブ」商業ビルです。

スマートで健康的、かつ持続可能な建物のリーディングカンパニーであるジョンソンコントロールズは、パワーハウス・ブラットールカイアの実現にあたり、潜在的な相乗効果を出すことを目的にパワーハウスとジョンソンコントロールズは、互いの役割を分けて協働しました。

ネット・ゼロ・エクセレンスを実現するための提携

パワーハウス・アライアンスでは、ノルウェーの企業5 社(不動産会社のEntra 社、建築設計事務所のSnøhetta 社、エンジニアリングと建築のコンサルティング企業であるAsplan Viak 社、建設と開発を手掛けるSkanska 社、環境保護団体であるZERO)が提携し、建設業界で最も気候変動に配慮した団体であることを活動目的に掲げ10 年に及ぶ共同事業を推進しました。

パワーハウスは、北半球において最も先進的で、建物で消費するエネルギーと発電するエネルギーの収支がゼロとなるスマートビルディングとしてパワーハウス・ブラットールカイアの建設を計画しました。

本プロジェクトでは、建物が生産するクリーンエネルギー量を最大限に増やし、建物の運用に必要なエネルギーを最小限に抑え、テナントや利用者にとって快適な空間を実現することを目指すという目標が掲げられました。

さらに、当建物の運用段階においては、建物のライフサイクル全体を通じて消費する電力量よりも多くの再生可能エネルギーを生み出すことを目指しています。

パワーハウスは、2019 年にパリ協定の1.5 度目標に基づく未来型の建物の新基準として「パワーハウス・パリ・プルーフ」を設けたことを発表しました。その要となる条件のひとつが、「エネルギーポジティブな建物であること」です。

最新の設計と技術を牽引

パワーハウス・ブラットールカイアは、環境への配慮に基づいて設計されており、太陽光や水などの自然エネルギーを利用したエネルギー・ポジティブな建物です。自然環境と調和した環境に優しい工夫がなされ、利用者のウェルネス実現を生み出しています。

ジョンソンコントロールズは、高さ8 階建て、広さ3,000㎡を誇るパワーハウス・ブラットールカイアに対して、最先端のビルマネジメントソリューションを提供しました。さらに、新築と改修の両方において、スマート商業施設の設計、開発、コミュニケーションのデジタル化戦略(Smart by Powerhouse)に基づいてソリューションやサービスを提供しました。

ジョンソンコントロールズは、スマートビルテクノロジーに関する幅広いポートフォリオを展開し、建物の設計と運用に関する豊富な専門知識を有するため、こうした最先端のプロジェクトに対応することができました。

マイクログリッドを通じて地域に再生可能エネルギーを供給

パワーハウス・ブラットールカイアは、建設、運用、解体に至るまでの建物のライフサイクル全体を通じて再生可能エネルギーを消費量よりも多く生産するエネルギーポジティブな建物です。同ビルが1 日に消費する以上の電力を生産し、エネルギーを地産地消する仕組みであるマイクログリッドを通じて近隣の建物や車両に再生可能エネルギーを供給しています。

主な成果

  •  太陽光発電装置の年間発電量は485,000kWhであり、これは電気自動車200台を充電できる電力に相当します
  •  海水を利用した自然冷媒によるヒートポンプでオフィスビル全体の冷暖房を供給し、さらに地域エネルギーシステムを通じて近隣の一部のビルの冷暖房を供給しています
  •  空気中から熱を集めて高温の熱として取り出す熱回収方式や外装に高断熱材を採用し、冷暖房のエネルギー量の制御や利用者適応型の照明・換気システムを導入することで、エネルギー効率を高めています
  •  その高い効率性が評価され、グリーンビルディング基準の「BREEAM Outstanding」認証を取得しました。BREEAMは、基本計画、インフラストラクチャー、建物を評価する、世界有数の持続可能性評価システムです

ジョンソンコントロールズは、パワーハウスと良好な関係を築き、幅広いソリューションを提供することで、あらゆるニーズに応えています。パワーハウス・ブラットールカイアは、当社のアプリケーションデータサーバー(ADXサーバー)を導入した大規模な施工事例です。

スマートな開発のためのロールモデル

こうした様々なグローバルプロジェクトは、脱炭素化、消費燃料を電力に置き換える電化、効率化、デジタル化に取り組むことによって、スマートで安全かつ持続可能、かつコスト効率の良いネット・ゼロ・ビルやコミュニティを実現できることを実証しています。

気候変動危機の重大な局面において、パリ協定の目標を達成するためには、2050年までに世界の建物の完全な脱炭素化の実現が必要です。

ジョンソンコントロールズはネット・ゼロの実現を後押しするために、パートナーと共に幅広い業界で改革を進めています。

 

 

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