ダーウェント・ロンドン 

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ロンドンの革新的な不動産投資事業者は、ジョンソンコントロールズの次世代プラットフォームを導入することでネットゼロ実現に挑みます

ダーウェント・ロンドンは、ロンドン最大の不動産投資信託(REIT)を運用する投資事業者で、デザインの先進性とイノベーションで知られています。ロンドンの活気ある「Tech City」の中心部に位置する複合施設「White Collar Factory」のような旗艦ビルは、高い天井、豊富な自然光と換気、そして市内最速のブロードバンド通信が特徴です。560 万平方フィートの敷地の中心部にある、ビル75 棟の分散投資を管理する REIT は、最近、サスティナビリティのリーダーとして評判をさらに高めています。

2020 年 7 月、ダーウェント・ロンドンは 2030 年までに炭素排出量を実質ゼロにすると宣言しました。英国を拠点とする REIT が目標達成に向けて、このような指針を示すのは初めてのことでした。ダーウェント・ロンドンの計画は、エネルギー消費量を削減し、再生可能エネルギーの使用量を大幅に増加させ、二酸化炭素排出量を削減する活動を徹底的に監査すると約束することで、気候変動の原因に直接アプローチするという、従来のネットゼロとは大きく異なるものでした。

例えば、REIT では新規開発物件にはオール電化の冷暖房システムを採用し、古い物件はこの設備を改修工事で導入しています。また、低炭素型コンクリートのような、持続可能な建築資材も使用する予定です。ダーウェント・ロンドンは、より再生可能なエネルギー源の採用も進めていく計画です。この取り組みには、スコットランドのグラスゴー近郊の敷地内に計画されている太陽光発電施設からの発電も含まれており、ロンドン市内の REIT 物件の電力消費量の最大 40%をカバーすることが可能です。

ダーウェント・ロンドンは 10 年近くにわたり、自社プロジェクトに対して、建物に使用される資材や機器の抽出から製造、組み立てまで、全ての段階で排出される二酸化炭素排出量の包括的な評価を実施してきました。これにより、建築資産のライフサイクル全体から排出量を算出しながら削減することが可能となります。

ダーウェント・ロンドンは、意欲的な目標を達成するために人工知能(AI)にも注目しています。ジョンソンコントロールズの、OpenBlue エンタープライズマネジャー(OBEM)、Central Utility Plant(CUP)、そして関連する一連のアプリを使用することで、英国の首都に位置する主要な建物から、エネルギー使用量、資産パフォーマンス、稼働率、室内空気質、メンテナンス、スペース利用率に関するデータを収集することができるようになります。

OBEM は、建物の効率に関係するビッグデータからの深く斬新な洞察をダッシュボード上に集約して提供します。ダーウェント・ロンドンは、これらの知見をアクションにつなげることで、持続可能性と効率性向上を加速させることができるのです。

初期段階

2020 年に画期的な公約を掲げる前から、ダーウェント・ロンドンは多くの大手ビルオーナーや不動産デベロッパー同様に、HVAC システムなどエネルギーを大量に消費する企業全体の主要な設備を交換、アップグレードすることで、二酸化炭素排出量を削減するなどネットゼロへの歩みを順調に進めていました。

同社が手掛ける 80 Charlotte Street、Featherstone Building、White Collar Factory といった旗艦ビルの多くに最先端のチラー、エネルギー効率の高いヒートポンプ、冷却塔が導入されています。一般的な HVAC システムは、大規模オフィスビルの総電力消費量の最大 40% を占めることから、これらのテクノロジーの採用で二酸化炭素排出量は大幅に削減されました。

しかし、ハードウェアへの投資だけでは終わりません。ダーウェント・ロンドンは、HVAC のアップグレードによるエネルギー削減は上限に達したと認識し、建物からエネルギーの無駄を削減する新たな方法を模索し始めました。

同社の設備専門家は典型的な大規模商業ビル内のエネルギーを大量に消費するシステムが、効率向上に向けた手つかずの金鉱であることに気づきました。ダーウェント・ロンドンのプロジェクト管理責任者であるマット・マッシー氏は、新しい効率改善の唯一の方法は、これらのシステムによって大量に生み出されるデータの山を理解することであると認識していました。同社は、効果的な措置を講じる前に、測定データから推測する必要がありました。

プロジェクトメンバーの誰もが、やりがいのある仕事になると予測していました。REIT は、独自の設備管理プロバイダー、IoT デバイス、ネットワークを駆使して、数百ものテナントを抱える多数のビルを管理しています。さらに 1 つのビルに複数の電気、ガス、水道メーターが設置されていこともあり、その中には骨の折れる手作業による検針を必要とする場合もあります。

ダーウェント・ロンドンはデータ・ストリームを管理し、そのデータをスマートに読み取ることができるソフトウェア・サプライヤーを必要としていました。テック企業の何社かは、該当するサービスを提供していましたが、ビル管理の豊富な経験を持つ企業はほとんどありませんでした。ダーウェント・ロンドンは、インテリジェントビルにおける最高のパートナーとしてジョンソンコントロールズに辿り着ました。

システムレベルの効率性

OpenBlue エンタープライズマネジャー(OBEM)は、所有地内のすべての異なる建物、テクノロジー、システムからの情報を「1つの明確な情報源」に集約させることで、大規模ビルオーナー向けにシステム全般における効率性を図ります。

ジョンソンコントロールズのエンジニアは、総エネルギー使用量、冷水消費量、雑排水使用量、照明電力など、既存のモニターやメーター、ビル管理システムを確認することから始めました。「一度、フレームワークを導入すると、データは統合管理することが容易になります」とマッシー氏は述べています。

次に彼らはエネルギー消費量原単位比の基準、ロンドンの過去の気象パターン、予想される需要と消費量の推定を組み込んでデータのベースラインを設定しました。その後、エンジニアは OBEM をインストールして、すべてのセンサーやメーター、システムをクラウド型の中央データリポジトリにリンクさせました。また必要に応じて、予測モデリングとリアルタイム分析を可能にするデジタルモデリングを活用しました。

豊富なアプリケーション

この包括的な分析クラウドベースプラットフォームが本格的に稼働すると、ダーウェント・ロンドンの設備チームは、熱、水、蓄電に限らず、建物のエネルギー使用量を追跡、管理、分析することが可能になります。AI と機械学習により、非効率な部分を正確に特定し、設備の問題を迅速に検出して是正措置を講じることで、パフォーマンス向上や、コスト削減機会を把握できるようになります。また、このアルゴリズムはエネルギー需要と消費を予測することで、突発的に生じる可能性のあるコストも回避することができます。

例えば、「アセット・マネジャー」アプリによって、ダーウェント・ロンドンのチームは、特定フロアの HVAC ユニットのようなビル設備の稼働状況を詳しく調べることが可能になります。このアプリは、不具合検知(FDD)システムを使用することで、稼働状況を把握して故障予兆を検知できます。そうすることで、ビル管理者はリアルタイムの稼働状況や解析結果の傾向を把握し、問題が深刻化する前に是正措置を講じるなど、常に先手を打つことができるようになります。

ダーウェント・ロンドンは、OpenBlue CUP を活用することで、セントラルプラント、つまり建物のエネルギー負荷の基幹となる機械、電気、水道システム群の二酸化炭素排出量を削減することもできます。

チラー、ボイラー、ヒートポンプ、温水発生機などに設置されたセンサーネットワークが毎秒、機器の性能に関連するデータをジョンソンコントロールズのクラウドに転送します。OpenBlue CUPのアルゴリズムは、スマートエッジデバイスとクラウドに設置されており、天気予報や光熱費などの変数と連動して分析します。何千もの変数を監視して、15 分ごとにデータを集約し、アプリは効率を最大化する運用モードを特定して、最適運用制御を自動的に実行します。

空気も新鮮に

ネットゼロ実現は、ダーウェント・ロンドンの主要な使命となっていますが、REIT は OBEM のオプションである Location Manager を使用することで、建物の利用可能スペースや空気質も把握しています。ジョンソンコントロールズは、ダーウェント・ロンドンの施設全体に人感センサーと空気質センサーを設置することで、建物内の環境をデータで見える化することができます。その結果、施設管理者は部門別またはフロアごとの利用状況を把握し、エリアごとの CO2、揮発性有機化合物 (VOC)、粒子状物質のレベルを監視できるようになります。問題が生じた場合、管理者は空調の風量を増やしたり、窓を開けて建物内に新鮮な空気を入れることで迅速に対応できます。

このような洞察は、思いがけない恩恵となるでしょう。「私たちは、エンジニアリングコストと、エネルギー消費量削減を目標に掲げていますが、どちらも順調に進んでいます」とサイモンズ氏は述べています。また「さらにすべての空間において、徹底した空気品質管理が実施できたのは、うれしい副産物となりました」とサイモンズ氏は続けます。

ダーウェント・ロンドンは、2020 年 7 月に宣言した目標に対して、進捗状況を毎年開示していますが、AI を活用したソフトウェアが稼働する瞬間から、恩恵を享受し始めることになります。ジョンソンコントロールズのクラウドベースのプラットフォームは、24 時間 365 日フィードバックループを構築し、継続的に資産の運用効率向上とエネルギー削減を実施することで、技術者や施設管理者が他の業務に優先的に取り組めるようにします。

マッシー氏とサイモンズ氏は、ネットゼロ実現を目指すダーウェント・ロンドンにとって、このテクノロジーはかけがえのない味方になると述べています。「テクノロジーと並ぶ最大の課題の 1 つは、設計、調達、運用などあらゆる面において、考え方を変えることです」とマッシー氏は言います。

JOHNSON CONTROLSおよび記載されている製品名は、ジョンソンコントロールズの商標または登録商標です。
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